年金氏名 自動読み仮名ソフト導入 入力ミス誘発、システム欠陥

 社会保険庁が昭和54年に年金記録の氏名のカタカナ管理を導入した際に、漢字の一般的な読み方をカタカナに変換する「漢字カナ変換辞書」と呼ばれるソフトを開発、使用し、勝手な読み仮名をコンピューターに入力していたことが16日、同庁の資料から分かった。氏名の正しい読み仮名を本人に確認することもせず、読み間違いを前提としたシステムを導入していたわけで、新たな批判を招きそうだ。


 年金記録は、32年からそれまでの手書き台帳での管理と並行し、データをパンチカードに入力する機械処理を導入。37年からは磁気テープへの収録を進めた。32年当時は文字をそのまま入力することができなかったため、氏名は「島=3800」「崎=3451」「藤=7854」「村=8618」といった具合に、漢字1文字ごとに4けたの数字に変換され、パンチカードに入力された。53年までに約5400万件の氏名が数字記号化された。


 その後、社保庁は54年になり、氏名をコンピューターにカタカナで入力する方式に変更した。ところが、数字記号化されたデータは読み仮名が分からなかったため「漢字カナ変換辞書」を開発。このソフトによって変換された勝手な読み仮名をそのまま、本人に確認することもせずコンピューターに入力した。


 この結果、例えば「島崎藤村」(シマザキトウソン)は「シマサキフジムラ」、「裕子」(ヒロコ)が「ユウコ」、「秀一」(シュウイチ)が「ヒデカズ」に変換されるなど、誤った読み仮名が多数入力された可能性がある。


 年金記録が5000万件以上も不明になったのは、平成9年の基礎年金番号導入以前の年金記録が、入力ミスにより不完全だったことが主な原因とされ、その入力ミスの多くは手書き台帳からの写し間違いといった単純なミスとみられてきた。


 しかし、これに加え今回、「漢字カナ変換辞書」の存在が明らかになったことで、氏名の読み誤りはシステムそのものにも原因があったことになる。社保庁も「システムとして間違いが起きる構造だった」(青柳親房運営部長)と責任を認めている。こうしたソフトを導入すれば、将来的なデータ管理に混乱を来すことは容易に予測されたはずで、54年当時に社保庁にそうした認識があったかどうかも焦点だ。


(2007/06/17 07:01)


http://www.sankei.co.jp/kyouiku/fukushi/070617/fks070617000.htm

使えねぇソフトとして勇名を馳せていたモノと思いたい